計測機器

[THS7BAT]Tektronix テクトロニクス オシロスコープ THS720std 他 バッテリーセル交換 関連情報

Tektronix(テクトロニクス)の名機ハンディ・オシロスコープ「THS720A / THS720std」シリーズを長く愛用するための、バッテリーメンテナンス&交換ガイドです。

このシリーズは現場での使い勝手が抜群な反面、バッテリー管理に少しコツが必要です。愛機をトラブルから守るための重要情報をまとめました。
🛠️ バッテリーの基本仕様

まずは、お使いの本体に対応する純正バッテリーのスペックを確認しておきましょう。

型番: THS7BAT

公称電圧: 4.8V (1.2Vのセルが4本直列)

純正容量: 2.8Ah (2800mAh)

化学物質: ニカド電池 (Ni-Cd)

⚠️ 【重要】ニッケル水素電池(Ni-MH)への換装リスクについて

純正のニカド電池が入手困難なため、サイズや電圧が同じ「ニッケル水素電池(Ni-MH)」の互換品や自作品を検討される方が多くいます。しかし、ここには大きな落とし穴があります。

🛑 過充電による液漏れ・破裂の危険

THS720シリーズの内蔵充電回路は、「ニカド電池(Ni-Cd)」専用の充電制御(一定電流を流し続けるタイマー充電や、ニカド特有の電圧ドロップを検知する方式)を前提に設計されています。

ニカド電池とニッケル水素電池では、満充電を検知するサイン(−ΔV 成分の挙動など)が異なります。そのため、ニッケル水素電池を装着して本体でそのまま充電すると、満充電を正しく検知できずに過充電状態が続く可能性が非常に高いです。

    最悪のシナリオ: 電池が異常発熱し、液漏れを起こしてオシロスコープの貴重なメイン基板を腐食させる、あるいは破裂・発火する恐れがあります。

どうしてもニッケル水素やリチウム系を使う場合の対策

本体の充電機能は使わず、バッテリーパックを毎回取り外して、その電池(Ni-MH等)に専用対応した外部のインテリジェント充電器で充電するスタイルを徹底してください。
💡 長く使うための関連・周辺情報

  1. ACアダプター(電源)の確保

バッテリーが死んでしまっても、ACアダプターがあれば据え置き型として駆動可能です。

対応ACアダプター: 12V / 1.5A〜2A(センタープラス、プラグ外径5.5mm / 内径2.5mmまたは2.1mm ※ロットにより異なる場合があるため要現物確認)

注意点: ノイズに敏感な測定器ですので、安価なスイッチングハブ用のACアダプターを使うと、画面に電源ノイズが乗ることがあります。トランス式や、ノイズ対策のしっかりした医療用・測定器用グレードのACアダプターを選ぶのが理想です。
  1. 内部の「バックアップ電池」の寿命に注意

本体の内部(基板上)には、設定や校正データを保持するためのボタン電池(CR2032など)がハンダ付け、またはホルダーで実装されています。

「起動するたびに日付や設定がリセットされる」

「セルフテストでエラーが出る」
といった症状が出た場合は、メインバッテリーではなく内部のバックアップ電池の寿命です。分解して交換する必要があります。
  1. メモリーカード(PCMCIA)の活用

THS720シリーズは、側面にPCMCIAカードスロットを搭載しています。

画面のキャプチャや波形データを保存する際は、コンパクトフラッシュ(CF)カードをPCMCIA変換アダプタに挿して使うのが最も手軽です。

ただし、最近の数十GB〜数TBといった大容量カードは認識しません。「128MB〜2GB」程度までの古い規格(FAT16形式)のCFカードを用意するのがコツです。

THS720シリーズは、絶縁チャネルを持ち、現代でもフィールドワークや電源回路の浮いた電位の測定に非常に重宝する名機です。適切なバッテリー管理で、ぜひこれからも現役で活躍させてあげてください!

この機種のバッテリーリフレッシュサービスのお申し込みはこちら