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[8N1100SC]JR PROPO ラジコン用送信機 JR PCM10X 他 バッテリーセル交換 関連情報

JR PROPOの名機「PCM10X」とラジコンの世界へようこそ

ラジコンの世界に深く足を踏み入れた方なら、あるいはこれからその歴史を紐解こうとしている方なら、「JR PROPO」というブランド名、そして「PCM10X」という型番に特別な響きを感じることでしょう。ここでは、かつて多くのモデラーが憧れた名機、PCM10X送信機と、その関連情報についてガイドします。


1. JR PROPO PCM10Xとは?

JR PROPO(日本遠隔制御株式会社)が世に送り出した、10チャンネルのプロポーショナル(プロポ)システムです。発売当時は、その多機能性と信頼性から、主に上級者向けのハイエンドモデルとして位置づけられていました。

  • 方式: PCM (Pulse Code Modulation) 方式を採用。従来のPPM方式に比べ、ノイズや混信に強く、より正確なコントロールを実現しました。万が一、電波が途絶えた際には、あらかじめ設定した位置にサーボを移動させる「フェイルセーフ機能」が標準で備わっており、高価な機体を墜落のリスクから守る信頼性の高さが魅力でした。
  • チャンネル数: 10チャンネル。飛行機やヘリコプターの複雑なセッティング(例えば、引き込み脚、フラップ、可変ピッチなど)にも十分に対応できる拡張性を誇りました。
  • デザインと操作性: 大型の液晶ディスプレイを搭載し、各種設定(ミキシング、エンドポイントアジャスト、エクスポネンシャルなど)をデジタルで行えるのが特徴でした。手に馴染む重量感と、しっかりとしたスティックの感触は、まさに「操縦する喜び」を感じさせてくれるものでした。

2. バッテリー [8N1100SC] について

この型番は、PCM10Xなどの送信機に使用されていた純正のニッカド(Ni-Cd)バッテリーパックを指します。

  • 仕様: 9.6V / 1100mAh (8セル)
  • 現在の入手と注意点:
    • 経年劣化: ニッカド電池は性質上、長期間使用しないと性能が著しく低下(メモリー効果など)し、現在では本来の性能を維持している個体は皆無に近いでしょう。
    • セル交換サービス: 幸いなことに、現在でも専門業者によるバッテリー内部のセル(電池本体)を新しいものに交換する「リフレッシュサービス」が存在します。劣化したバッテリーパックを業者に送ることで、中身を新品のニッケル水素(Ni-MH)電池や、場合によってはリチウムポリマー(Li-Po)電池に換装してもらうことが可能です。
    • Li-Po化の注意: もしLi-Poバッテリーに換装する場合は、電圧や充電方法がニッカド電池と全く異なるため、送信機本体の改造や専用の充電器が必要となり、専門的な知識が求められます。

3. PCM10Xを現代で楽しむためのガイド

中古市場などでPCM10Xを手に入れて、もう一度あの頃の感動を味わいたいと考える方もいるでしょう。その際に、いくつか知っておくべき重要なポイントがあります。

  • 電波方式(72MHz帯)の確認: PCM10Xが使用する電波は、主に72MHz帯です。この周波数帯は現在もラジコン用として使用が認められていますが、現代の主流である2.4GHz帯とは異なります。飛行させる場所が72MHz帯の使用を許可しているか、また、周囲に同じ周波数帯(バンド)を使用している人がいないかを必ず確認する「バンド管理」が必要です。混信は重大な事故につながるため、細心の注意を払ってください。
  • メンテナンスと修理: 製造元であった日本遠隔制御株式会社は2017年に破産しました。その後、株式会社RC Depotが「JR PROPO」のブランドや知的財産を引き継ぎましたが、PCM10Xのような旧製品のメーカー修理は基本的に終了しています。修理やメンテナンスは、自己責任で行うか、経験豊富なモデラー仲間や専門店に相談することになります。
  • 中古品購入時のチェックポイント:
    • 外観: 本体に大きなひび割れや破損がないか。
    • アンテナ: アンテナの伸縮がスムーズか、曲がりや損傷がないか。
    • 液晶: 液晶の表示は正常か(液漏れや文字欠けがないか)。
    • スティック・スイッチ類: 各スティックやスイッチがスムーズに動作するか。
    • バッテリー: バッテリーが付属する場合でも、前述の通り性能は期待できません。交換前提で考えましょう。
    • 動作確認: 「通電確認済み」と「動作確認済み」では意味が異なります。可能であれば、実際に受信機とサーボを接続しての動作確認がされている個体を選ぶのが理想です。

4. 「JR PROPO」ブランドの今

前述の通り、旧・日本遠隔制御株式会社は法人としては消滅しましたが、「JR PROPO」ブランドは株式会社RC Depotによって引き継がれ、現在も存続しています。ヘリコプター用の新型送信機やサーボ、ジャイロなど、新たな製品が開発・販売されており、一部の製品についてはサポートも継続されています。往年のファンにとっては嬉しいニュースと言えるでしょう。

まとめ

JR PROPOのPCM10Xは、ラジコンの歴史における一つの到達点を示した名機です。その重厚な作りと確かな性能は、デジタル時代の今でも色褪せることはありません。しかし、その性能を再び引き出すためには、電波に関する法規の遵守、バッテリーの適切な管理、そして自己責任でのメンテナンスといった、現代のシステムとは異なる知識と配慮が不可欠です。

このガイドが、あなたが古き良き時代の名機と共に、安全で楽しいフライトを実現するための一助となれば幸いです。

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